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白と黒の古屋兎丸について

こんにちは、編集Eです。

いま私はというと、来月発売のコミックス

『ルナティックサーカス』1巻の作成真っ只中です。

古屋兎丸先生からの修正原画、デザイナーchutteさんの細部までこだわったデザインが続々と上がり、

いよいよ最終の確認段階に入りました。

(↓このロゴ周りを見てください。かなり手が込んでます。手元に置いておきたい素敵な一冊になりました。お楽しみに!)

古屋先生を担当させて頂いて、かれこれ15年。

『彼女を守る51の方法』『人間失格』『女子高生に殺されたい』『少年たちのいるところ』に続いて、

5作品目を新潮社から刊行させて頂くことになります。

しかし今回の『ルナティックサーカス』は今まで担当してきた作品とは全く違う点があります。(担当として)

そのあたりを制作秘話としてご紹介してみます。

『帝一の國』『ライチ☆光クラブ』『アマネギムナジウム』など数多くの作品を手掛ける古屋先生。

その作品群を私は勝手に「白古屋」 「黒古屋」とカテゴライズしています。

たとえば『帝一の國』は「白古屋」、『女子高生に殺されたい』は「黒古屋」のように。

(あくまでも先生の内面での白と黒で、作品の外側から見える白と黒ではないです)

おそらくですが古屋先生は少々飽きっぽいところがあり、「白古屋期」が長く続くと「黒古屋期」に入りたくなり、しかし黒古屋期を長くは抱えたくないので「白古屋期」へ……という風にバランスを取っているのかと。

それが作家生活の長続きの秘訣。たぶん。

私が 「そろそろ古屋先生と一緒に仕事したいな」 と思ってお声掛けすると…いつもその短い 「黒古屋期」 に突入したい頃合いで。

また私は新潮社の文学が好きで編集者を志したものですから、その趣味も加わって打ち合わせで意気投合…

結果 「黒古屋コレクター」 になってました。

すべて黒です。真っ黒です。

『人間失格』なんてその最たるものですね。

ちなみに、白と黒では漫画の制作スタイルも違っています。

「黒」 は構想段階から何ヵ月もかけて打ち合わせを重ねて全体のプロットを確定させる。

なんならネームも最後まで仕上げてから作画に入るスタイル。

描きたいテーマとキャラクターの感情が連載中にぶれないように、冷めないように…

「今の描きたいという気持ち」が熱いうちに出し尽くして、それをそのままネームに定着させたい為、なのかなと推測します。

ストイックすぎる…!

そして『ルナティックサーカス』の話ですが…

これは「白古屋」です。担当として初めての白。

↑古屋先生めちゃくちゃ楽しんでます。

大まかな構想はありますが、ラストまでのプロットはありません。

今はまだ明かすことができないですが、古屋史上初めての制作スタイルを挑戦中。

まずは4月9日発売のコミックス第1巻を楽しみにお待ち頂ければと思います。

(E)