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お花畑にはなりたくない

こんにちは、編集Eです。

連休明けの校了作業が無事に終わったので、今回はその校了からエピソードをひとつ。

編集者がデザイナーさんと印刷所との作業を経て作成するページ見本が校了紙。

その校了紙を担当→副編→編集長と確認して印刷所に戻して「責了」。この一連の流れを校了といいます。

バンチ編集部の校了で最大の”山場”は、各担当者が校了紙を副編Hに回覧してチェックを受ける時。

誤植もしくは疑問点が見つかった場合、Hが該当箇所にコメント付きの付箋を貼って担当者に戻します。

理想的な校了は、各担当の確認段階で漏れなく修正した完璧なものを作成してから回覧すること!…ですが、冷徹な鬼の目は逃しません。

上の写真のように残念な付箋がたくさん貼られてしまうことも…。

ちなみに、編集部内ではこれを 「お花畑」 と呼んでいます。

色とりどりの付箋が貼られまくった様子が、咲き乱れた花のように見えることから付けられた名前ですが、「担当者の頭がお花畑」と、かけてるとか、いないとか。知らんけど。

(ちなみに写真の花柄は、見えてはいけないところ隠すために押した写真加工スタンプです。念のため)

さて本題。

校了で難しいのは、「客観的になる」こと。

編集者は世の中で一番厳しい読者になりたい。

特に漫画は文字だけでなく絵もあるので、思い込みで作業していると大事なことを見逃してしまいます。

私も担当作品を副編Hにチェックしてもらうのですが、いつも 「そこに気付くのか!」 と目から鱗。

たとえば今月は『僕の妻は発達障害』への指摘が凄かった。

(注意 : 以下、来週発売の内容に若干触れているので、気になる人は読み飛ばしてね)

物語の中盤、知花がお母さんへの思いを吐露する印象的なシーンがありました。

知花が手紙を整理しながら悟と会話しています。

「だから 今は お母さんのこと 苦手じゃない」

そこに付けられた付箋には…

『歯ぶらし? 一度に2つのことできる?』(Hより)

一瞬なんのこと?と思いました。

思いますよね?

しかし、よく読むと ハッとしました。

物語の前半に、知花が発達障害の症状で2つのことを同時に出来ないというシングルタスクのエピソードがあります。

しかしここは別のシーン。

この場面で作画の歯磨きにまで注目し、2つの行動を同時にしているのでは?と違和感に気付くのは凄いの一言です。

知花は他の作業を同時にできないけれど、”歯磨きはそこに含まれない”と、私は思いこんでいたので、指摘が入るまで全く意識できませんでした。

確かに副編Hの指摘のように読者が疑問を持ってしまう可能性はあり、それは望ましくありません。

物語のノイズになってしまいます。

著者と相談し、構成を少し変えて新たに台詞を付け加えることに。

結果的に、より発達障害を掘り下げることができた…かな。ふー。

(来週発売の本誌にてご確認を)

関わっている作品を 「客観的に読む」 ことは本当に難しい。

(E)