こんにちは、編集Eです。
編集者が漫画家さんとの出会いの中で一番興奮する瞬間は何?と聞かれると、「漫画賞の応募作品の中からキラリと光る才能を見つけた時」と答えるでしょうか。
もちろん、同人誌即売会やネット上での出会いも素敵です。
書店で何気なく手に取ったコミックスに運命を感じることもあります。
しかし漫画賞の何に”興奮”するかというと、「今手にしてる原稿は世界で自分しかいない」という独占的な出会いであること。
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夜の編集部。帰宅前に1本だけと読み始めた投稿作品が面白くて止まらない。……え、何これ?
顔を上げて周りを見回しますが編集部で自分一人しかいません。
原稿が入っていた封筒を確認すると、まだ誰もチェックした様子はなく、どうやら編集部内で自分が一番最初に目を通しているようです。
作者の名前をネットで検索してみます。
何もひっかかりません。
初投稿のようです。
ドキドキしてきました。
自分の感覚に間違いないか何回も何回も読み返します。
この才能に気付いているのは世界で自分だけ……かもしれない。もしかしたらこれは運命的な出会い……かもしれない。
想像するだけで高鳴る鼓動が止まりません。
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私が新人の頃は、毎月そんな気持ちで投稿作を夜な夜な読み漁っていました。
漫画賞が大好きです。
今は各編集部員が審査をした作品の最終チェックのみの役割になりましたが、それでも毎月の楽しみです。
さて、今月号で発表した新潮社バンチ漫画大賞の結果はこちら。
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鬼澤馬勇さんの『ピンクの正義ちゃんねる』が佳作を受賞しました。おめでとうございます。
今回は本作を編集長特別賞に選ばせていただきました。
気に入った箇所は多々ありますが、鬼澤馬勇さんの描くキャラクターの表情が素晴らしかった。
大好きなコマがあるので紹介したいと思います。
まずはこちら。
戦隊のピンクが見せる表情ではありません。
このキャラクターがどんな性格なのかを1コマで表現できてます。
自分が送ったメールを見た相手がこんな表情をしてたとしたら……背筋が凍るほどぞっとしますね。
もう一つこちら。
「全然バズんねーじゃねーかっ!!!」
ためてためて、めくってドンでこの表情。
いいですね!
描き文字と吹き出しのチョイスもgood。
シーンとは全く関係ありませんが、このコマを眺めていると作家さん達の魂の叫びが聞こえてきました。
担当編集に言われたからツリー形式で漫画をツイートしたのに………
思い当たることが多々あるので刺さりました。
鬼澤馬勇さんの次回作が楽しみです。
(E)